営業時間 | 9:00~20:00 |
---|
定休日 | 不定休 |
---|
当院のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
はり・きゅう・マッサージ うみがめ 院長の齊藤 公紀(さいとう こうき)です。約20年の間、「在宅訪問マッサージ博愛堂」として、患者様のお宅や施設に訪問して施術してきました。通院困難な高齢者や難病・障がいをもった方を、主治医にマッサージ同意書をご交付頂いて健康保険を使って施術するので、患者様は経済的ご負担も比較的少なく、定期的に、回数もあまり気にせず施術を受けることが出来ます。国の厳しい保険財政ですが、日本にはこのような制度があり、素晴らしいことだと思います。
また、ご家族様やお知り合いの方には頼まれれば自費でマッサージや鍼灸治療を行なってきました。様々な患者様と知り合い、患者様の貴重な人生のお時間を頂き、お体をお任せ頂いて、沢山の失敗や嬉しい経験を積ませて頂き、沢山の事を教えて頂き、しかも施術費も頂きながら感謝されて、特に宣伝することもなく本日まで長い間生活してこられて、とても幸せな事だと感謝しています。
脊髄損傷・脊髄梗塞・脊髄空洞症・パーキンソン病・パーキンソン症候群・シェーグレン症候群・慢性関節リウマチ・筋ジストロフィー・脳出血・脳梗塞・慢性硬膜下血腫・後縦靭帯骨化症・神経原性筋萎縮症・筋萎縮性側索硬化症(ALS)・糖尿病性ニューロパチー・慢性腎不全・手根管症候群・肘部管症候群・脊椎すべり症・脊椎分離症・側弯症・腰椎圧迫骨折・脊柱管狭窄症・変形性膝関節症・人口膝関節置換術後・変形性頚椎症・悪性腫瘍・・・。
施術しても病気が進行していく方、亡くなられる方、現状維持できる方、症状緩和できる方、当然様々でありました。知識や技術が通用するレベルの方もいれば、ガリガリに痩せ細って揉める筋肉も僅かな状態の方、治るなんて望んでいない方、ベッドで褥瘡が出来ないように寝ているのがやっとの方、それでも私が来るのを楽しみに待っていて下さり、体が軽くなった・楽になったと感謝してくださる方々と接する中で、治療(施術)とは何なのだろうと考えさせられました。病気を治すことに焦点を当てすぎると上記のような不可逆的なものは治らないことになります。また、「癌(病気)は治ったが患者(病人)は死んだ」などという言葉もあります。
私の仕事は病気を治すことではなく、治る力を強く手助けすること、結果症状を楽にすることであると考えています。御本人様の体が楽になり、日常生活の障碍が減っていく手助けをさせて頂く事です。手技だけでなく総合力、患者様に安心して頂けるような人間力を磨き続けることが何より大切、そのようなことを今までの仕事の経験から学びました。
「人に歴史あり」と言います。すべての人には歴史があり、様々な経験や苦労もあり悩みもあります。いつの世も、世の中を支えているのは名もなき庶民ひとりひとりの力です。時流に翻弄され、真っ先に犠牲を強いられ、報われることもなく死んでゆく。名もなし地位なし名誉なし。そのような名もなき人々のお陰で今の世の中があり、今の我々の生活があります。聖人君子のような完璧な人間なんていない。社会の中で人間の不完全性を寛容に受け容れる。そして共に世の中を創っていく。報われることもなく、手にするものも少ない名もなき市井の方々一人一人を敬い、そのような人達のお力になりたいといつも考えています。
最も多い失敗はドーゼ過多(やりすぎ)です。患者さんに少しでも良くなってもらいたいと一生懸命に長い時間施術をする、強く押してほしいと言われて希望の強さで施術する、あそこもここもと沢山のツボに鍼やお灸をする、施術者はいいと思って一生懸命な気持ちですが、後で患者様から揉み返しになった、内出血した、物凄く怠くなった、体が痛くなった、などと言われて失敗に気づきます。整体の村山先生は「何度も同じ所を押さない!」川口先生は「余計な事をしない、どれが効いたのかわからなくなる、だらだら長い時間施術されると体が冷えてくる、テキパキと手際よくやらないとダメ」、鍼灸の浅場先生は「鍼灸師の自己満足の治療をしちゃ駄目」浅場先生の師匠の柳下先生は「この治療(脈診流経絡治療)は引き算の治療だよ、どれだけ鍼数を減らせるかだよ」と皆さん仰っています。言うは易し行うは難し、施術者としていつも心に刻んでおかねばならない事だと思います。
当院で行なっている奥伝の調整法と鍼灸経絡治療は西洋医学ではありません。伝統療術であり、今流行りの治療法でもありません。手っ取り早く習得することが出来ないので普及もしていません。昔の名人・天才が遺し、代を経て改変・改良が加えられ、人から人へ、手から手へと伝えられてきた治療法です。私のような不器用な凡人には生涯をかけてもその深奥に手が届かないかも知れません。しかし私は不思議と師や仲間に恵まれました。整体川口先生の勉強会も少人数で稽古して、疑問点などは直伝で技を受けられ症例のお話も沢山聴けます。鍼灸浅場先生の勉強会では小里式という方法で、膨大な時間患者役の体を触りながら一鍼ごとの脈や皮膚の変化、先生が施術するとどう違うのか、講義や質疑応答もあり、今の時代にあった鍼灸術を教わっています。
以前、他の治療法を教わったこともありましたが、結局この2つに落ち着きました。良い悪いの問題ではなく自分の性格に合っていた、そして縁があったということです。そしてこの伝統療術を縁あった人々に施術させていただき、身体で良さを知って頂くこと、そして途絶えさせずに後世に残していくことが役割だと思っています。
勿論施術は何処でもできますが、環境も重要です。寒い部屋や大音量のテレビの部屋、途中で電話が鳴ったり客が訪ねてくる場所で施術をしても効果半減です。最適な環境で施術を受けて頂く為にも施術所を開設することに致しました。
師匠である一心館合気道・須一和晃館長の教えです。
「天上界におわします武道守護神・合気道開祖植芝盛平先生、本日も一心館本部道場の稽古を始めさせて頂きます。本日も反省・感謝の舞として、楽しく怪我無く稽古させて頂きますので、よろしくお願い致します」二礼二拍一礼。この後お互いに礼をして稽古が始まり、稽古が終わるときも同じ作法をします。
須一館長は「人間には反省という消しゴムがある」「感謝して共に生かされ生かしあう」「どんなに難しい勉強をしても頭に愛が乗っていなければ何の意味もありませんよ」「俺が俺がなどと言ってもあなたの姿をビルの上から眺めてみなさい、小さいですよ」「技がかからないのは相手の力が強いからではない、自分のせいですよ、自我のせいですよ」「お前ら貧乏ってのは金持ってねえことじゃねえぞ、けちけち出し惜しみして人に与えないことだ、自分の出来ることは何でもしてやれ、何でも与えてやれ!」(忘己利他)「人に愛を与えていきなさい」
「俺は自分の役割を分かっている。道案内人だよ、伝道師だよ」
自己正当化や他人との比較・優劣、他者への批判、そんな小さい俗世間的考えとは無縁な、懐の深い偉大な師匠で沢山の人材を育てられました。末席ながら私も教えを受け、人生の全てを教わりました。
「財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すを上とする(後藤新平)」
須一和晃館長DVD
標準治療というものがあります。科学的根拠に基づき、有効性・安全性について専門家のコンセンサス(合意)が得られた現在最良とされる一般的治療のことです。我々は病院に行き健康保険が適用され、ガイドラインに沿った医学的処置や薬の処方が受けられます。信頼性・再現性があり、誰がやっても同程度の効果が認められ、国によって医療と認められて自己負担も少なくて済む。とても素晴らしい制度であり、何か体調に異常を感じた場合は医療機関の受診がファーストチョイスであるべきことは間違いないと思います。病気の診断・鑑別、大きな病気が隠れている時にその治療の機会を逃さないためにも医療機関への早期受診は大切なことです。
困ってしまうのは、医療機関で特に異常がない、やるべき処置もない、歳のせいだからしょうがない、あるいは医学的治療を受けた、だけれども心身の不調が現実としてある場合です。これからどうすればいいのだろう・・・。そんな時、初めて整体や鍼灸に目を向けてみる気にならないでしょうか。
科学全盛・西洋医学全盛の現代に、なぜ保険も使えない自費治療の鍼灸院や整体院が存在しているのでしょうか?さらに言えばそれらの中でも、その時代の流行りの方法でなく、伝統的な方法で行なっている施術所がなぜ存在するのでしょうか?
それはいいものだから、人々に必要なものだから、一部の人々にとっては必要不可欠なものだから、移り変わり・流行り廃りの激しい時代の批判を乗り越えて、淘汰されずに脈々と残ってきたのではないでしょうか。
腰痛の治療を受けに行って全身の調整をしてもらえますか? →我々にとっては必要だからです。他の部位の異常によって腰痛が出ることもあるし、腰痛によって他の部位に異常が広がることもあります。また、他の部位を緩めることによって患部の負担を減らすことも出来ます。だから全身の歪みや固さを調整することが治療にとって、予防にとっても必要なのです。
体調不良に対して、あなたの体に合わせた気血の調整をしてもらえますか? → 人間には個人差があります。体の大きい人・小さい人、若い人・高齢の人、社交的な人・内向的な人、身長・体重・血圧・血中酸素濃度・冷え性・暑がりetc. 一人一人違う筈です。同じ治療法でいいのでしょうか。経絡治療では特に本治法に於いて、一鍼ごとに脈や皮膚・呼吸・声・顔色・体の角度等人間の全ての観察力(四診)を用いてリアルタイムで観察し、手技手法や加減を最適となるよう変化させていきます。よって間違った治療で進んでいくことを防ぐことも出来ます。
東洋医学は西洋医学とは違った考え方で成り立っています。我が国の先人が遺し脈々と伝わってきた無駄のない全身の骨格調整の精華である奥伝の調整法、中国から我が国に伝わり、わが国独自で発展した繊細な経絡・気血の調整法である鍼灸経絡治療をご自身の体で受けてみて変化を体感してみてください。
村山勝先生(整体筋バランス調整法)
当時私は土曜日の昼過ぎまで町田で訪問マッサージの仕事、14:00~村山先生の整体講習会なので電車で急いで小岩に向かい、さらに夕方から大和市で中国拳法・日本剣道の道場なので、電車で戻ってから自転車でダッシュで道場に向かい夜遅くまで稽古するという忙しいスケジュールで、道場に向かうときはいつもクタクタだった事を覚えている。
講習会の終盤に村山先生はよく「じゃあ骨盤と背中やろうか」皆に声をかけて、うつぶせで骨盤調整、座位で背中と頸椎の調整だけを自ら施術することがよくあった。
村山先生にその主要なものだけの5分位の施術をして頂き、電車で帰宅して「今日も忙しくてキツイな」と思いながら自転車で道場に向かっていると、噓のように体が軽くて全く疲労感がないことに驚く。村山先生はよく、「体が更新(リセット)されたようになる」と仰っていたが、まさにその通りだった。予想していなかったことなので驚いたが、施術は時間ではない事を教えられたと同時に、このやり方は素晴らしい方法・技術だと思った。
浅場幸一先生(脈診流経絡治療)
学生の頃、東洋はり医学会の支部会に聴講生で参加して患者役となって施術を受けていた時(肝虚)、右の眼と頭が痛くなってきた(鈍痛)。浅場先生が周ってきて、「証が間違ってるよ」と左足首に鍼を当てると右の眼に響いて驚いた。そのあと、誤治の調整と標治法をサササッとして頂いた(接触鍼)。
支部会の後に皆さんで喫茶店に行くために外で待っている時に、頭痛と目の痛みはなく、体が嘘のように軽くなっていることに気づいた。普段自分は体が疲れていることが当たり前になっていて、本来はこんなに軽いものなのだと気づいた。村山先生の時と同じような経験だった。
浅場先生に「肝虚と腎虚を間違うとはそんなに違うのですか?」と聞くと、「当たり前だよ。補っちゃいけない所を補ってんだから」と仰っていた。
右膝内側痛
上尾の川口整体道場に向かう途中、右膝内側が痛く不快だった。川口先生に「膝痛は腰からきていることが殆どだよ」といつも言われていたが、膝の内側が痛いという現象に知識が頭をもたげて、「自分はO脚気味で立った時に膝の内側同士が着かず、靴も外側がいつもすり減りやすい。きっと膝の変形で内側の軟骨がすり減って痛みを発しているので、内転筋や大腿四頭筋を鍛えないと治らないのかもしれない」などと思い込んでいた。その後の整体講習会の時に仲間に腰椎を「ボリボリッ」と矯正してもらい、帰りに気づくと膝の痛みは全くなく、その後も再発しなかった。
薬で良くならない頭痛
50代女性。額のあたりが全体的に鈍痛が強くつらい。心当たりもない。痛み止め(ロキソニン)を飲んでも効果がない。陽明病として鍼で胃経を処置したが効果なし。何とかしなければならない。川口先生から「頭痛は頸椎の歪みを正せば治る」といつも言われていたが、頸椎の矯正はやられるほうも何となく怖いし、リスクもあるので二の足を踏んでいた。おまけに固い人はやりづらい。
触診すると頸椎の歪みがあり抑えると圧痛がある。しかし頭痛の出ている部位は額全体で右でも左でもない。整体では「痛みを追わずに歪みを追え」と教わってきました。痛みは結果、歪みが原因ということだと思います。歪みがあることを説明して頸椎を矯正しました。頚に負担をかける姿勢をしなかったか再び聞いてみると、数日前、温泉の露天風呂で星を見るために、無理な姿勢でずっと上を向いていたとのこと。頭痛は良くなり翌日には忘れていた模様。その後もこのようなことは何度も経験しました。
本治法の大切さ
鍼灸経絡治療では本治法(原因を治す、全体を良くして治癒力を上げる)と標治法(局所治療、今現れている症状に治療する)の両方を行なうので「標本同治」などと呼ばれます。私の学んだ流派では「本治8割」などと言われ、本治法が重視されます。浅場先生の師匠の柳下登志夫先生は、重要な本治法のみを自分で行ない標治法は「本治法を乱さないようにやりなさい」と弟子にやらせていたそうです。
80代女性。腰と臀部が痛く寝返りや立ち上がりがつらい。湿布や鎮痛剤(ロキソニン)でも良くならない。マッサージをしても著効なし。うつぶせになって圧痛と筋緊張の強い腰部(胃兪・腎兪・大腸兪)や臀部(環跳穴)に鍼を刺して置く(置鍼)。鍼を抜いて後、寝返りや立ち上がりで痛みあり(改善見られず)。
仰臥位で本治法を行なう。脈の左右差が酷く左手の脈が弱い。症状や腹診・皮膚の状態(切経)から肝虚証と見立てて変化を確認しながら接触鍼で施術しました。「腰がなくなったように軽くなった」と仰る。4日後、お話を伺うとまだ前かがみから体を起こすときに痛みがあるが8割方よくなったとのこと。
病院で異常がなくても、東洋医学的には必ず体に異常(反応・バランスの崩れ等)が現れています。その異常から見立てを立てて施術をしていきます。病名の有る無しに関わらず、慢性疾患や不定愁訴に対してもアプローチ出来ます。健康と病気の間、いわゆる未病の段階で治療するのが上等な医者、すでに病気になってしまった段階で治療するのが中等度の医者であると中国の古典では言われています。
外周の矢印は相生関係
内側の直線は相克関係
また、上等な医者は病気が相克的に伝わっていくことを考えて治療するとも書かれています。肝臓の病気が脾臓に伝わり脾臓を弱めるので影響を受けないように脾臓を強くしておくのが上工であり、病気の肝臓ばかりを治療するのは中工とも書かれています。
このように、五行(五臓)のバランスを整えて病の発症を未然に防いでしまうことも東洋医学の得意分野であり、地味ですがとても大切なことだと考えています。鍼灸治療を受けるようになって大病をしなくなる患者様を見ることは、痛みが取れて喜ばれるよりもむしろ嬉しいことかも知れません。何故なら比較的健康で穏やかな日々を過ごしていただけているということだからです。