今月の講義は『難経』第三十難についてでした。
三十難は気の説明であり、東洋医学の拠り所。
栄・衛という二つの気について説明されていて、この性質を理解しないと東洋医学での治療が出来ない。何をやっているのかも分からず説明も出来ない。栄は栄気・栄血とも呼ばれ、衛は衛気とも呼ばれます。食物のエネルギー(穀気)を受けた気・血は臓腑の作用によって衛・栄となり全身を巡り養います。衛・栄の性質によって鍼とお灸の使い分けや、鍼を深くしない説明にもなります。また、皮膚はバリアやセンサーの役割をしていて、知覚は表面から1~2㎜が一番敏感に働くそうです。皮膚への刺激は脳や内臓をも動かします。外界の刺激を知覚するのが皮膚であると同時に、昔の人は「外を以って内を知る」、つまり皮膚表面に出た反応が体の内側を反映していることを発見し、同時に治療点であることも見つけました。血液検査や検査機器もない時代、どの経絡(エネルギーの流れ)に反応が出ているのか、そしてどの経穴(ツボ)に反応が出ているのかを繊細な感覚で感じ取り体系化していったものと思われます。
実技では鍉鍼(ていしん)の使い方について説明がありました。見づらいですが、写真のボールペンの左側にあるのが鍉鍼です。古代九鍼の一つで一般の鍼刺激が苦手な方や敏感な方のみならず、普段の臨床でも重宝する刺さない鍼です。持ち方から両サイド(頭・尾)の使い分け方、本治法や標治法での使い方、刺激量の調節、なぜ皮膚に接触させてはいけないのかの説明がありました。私のような凡人には、言われないと一生気付かないような事が多々あり、昔の諸先輩方の研究と努力にはいつも驚かされます。