邪を漏らさないと病気は治らない
経絡治療では古典(『難経』)の「補法優先」という考え方に則り治療を進めていきます。まず弱い五臓の経絡(虚)を補い、その後に(病的に)強い(実)五臓六腑の経絡を漏らします。この病的に強い脈の事を「邪実」といいます。勉強会でいつも先生は「邪が悪さをしているのだから、邪をしっかり漏らしなさい」と仰られます。虚を補うことばかり考えて、実を処理しなければ体は楽にならない。
この邪には「実邪」の他に「虚性の邪」という弱い邪もあります。体力がない人、病気と戦う力がない人はこの虚性の邪の脈を拍っていて、まず補ってから漏らす手法を用います。
実にも「邪実(病的な硬い脈)」と「旺気実(艶のある強い脈)」があり、手技手法が異なります。この旺気実も手技を行なわないと病気は治らない。
つまり個人個人様々な脈の状態を表わしていて、ケースバイケース、それに応じた手技で全体のバランスを整えていかねばならないのが難しい所ですが、幸い優れた先人たちが手法は遺してくれています。後は使う人間の技量と経験・感性の問題であります。
また先生はいつも「時代に合った鍼をしなさい。その時代の人間の体質に合った鍼をしなさい。そうしないと鍼はどんどん衰退していく」と我々に警鐘を鳴らされています。
2026/08/31