4月末から毎週のように真面目に通ってくださっている80代女性。主訴は腰痛・坐骨神経痛(骨粗鬆症、腰椎圧迫骨折、椎間板ヘルニア歴あり)。繊細な体質で、天候や気温・気圧にも影響を受けやすく、刺激に対しても反応が出やすく、家事や運動をやり過ぎてもすぐに痛みが出ます。
鍼灸で施術をしても最初のころは一進一退で目に見えて改善傾向がなかなか見られることもなく、証(東洋医学的見立てのこと→毎回同じではない)を間違えて悪くしたこともありました。以前は整形外科や接骨院・デイケアに通ったこともあったそうですが、体に合わなかったそうです。
痛みと不安で動悸がしたり、骨の癌ではないかと考えて脊椎の専門病院を受診したこともありました。そのような状態でもなぜか私の事を信じて通い続けてくださいました。

試行錯誤しながらも根気強く本治法と標治法を続けていくと10月上旬には「以前のように酷く痛むことはなくなった。今まで痛みで何も出来ず、本来の自分ではなかった。最近、少しずついろいろなことが出来るようになり、自分らしくなってきた」と仰られるようになりました。数週間前は肋間神経痛が出ましたが酷くならずに改善されました。本日は「昨日庭木の剪定を頑張りすぎて今朝から肩と腰が痛い」と来院されましたが、以前のような悲愴感は見られません。

最近は笑顔が増えて明るい表情が多く、口数も多くなり、以前とは明らかに変わりました。具合が悪いころは、何もやる気が起きなかったそうですが、大好きな庭いじりで昨日剪定した、みかんをお土産に持ってきてくださいました。そのような姿を見て、とても嬉しい気持ちと共に、慢性的な症状も諦めなければ変わっていくことを身をもって教えて頂いた気がしました。根気よく通い続けてくださったことに対する感謝の念を強く抱きました。「患者さんが一番の先生」とは本当に日々感じさせられます。
2024/11/09